下肢(かし)を見る

内側側副靱帯損傷

症状

投球ややりなげ動作での肘内側の痛み。柔道や事故での肘関節の脱臼後にも見られます。15歳から30歳まで多く発見されます。

病態

内側側副靱帯は上腕骨から始まり、尺骨に終始するおよそ2㎝程度の長さの靱帯です。この靱帯の役割は肘の外反ストレス(投球時には必ず生じる)に抵抗し、肘を安定化させることです。実は、靱帯にストレスがかかってくる15歳以前にもこの部位を痛めて来院されるのが、小学生のお子さんに多い内側型(部)野球肘と呼ばれるものです。最初に上腕骨側の骨端核が骨折様に裂離します。この時点で内側側副靱帯にもストレスがかかっております。癒合せず分節化したまま骨片が残る場合は靱帯の痛みに注意する必要があります(図1)。

治療

靱帯が弱くなってくると関節が不安定になりますので、超音波で数値化し評価します。エコーとMRIで靱帯の質も評価します (図2)。

肩甲帯・肩の柔軟性の低下、機能低下が肘への負担をかけているケースも多く、肘周囲の筋力強化とともに理学療法を行います。関節内の炎症を注射治療する場合もあります。一定期間の保存加療で改善しない、頑固な疼痛に対しては手術を検討します。手術は前腕の長掌筋腱を再建靱帯として、上腕骨と尺骨内骨トンネルに強化プラスチック製留め具で固定する方法(シングル法)(図3, A-D)や尺骨トンネル2か所にループ状に通した腱を上腕骨側は一つの穴に自分の骨(骨釘)で固定する方法(ドッキング法)(図3, a-d)を施行しております。術後3-4週間固定後、2か月前後での日常生活に不便がなくなり、4か月からスローイング練習に移行し、試合レベルの復帰は10-12か月を要します。これらの手術は大学生以上から30歳くらいまでのアスリートに多く年間に10例程度の実施で決して多くはありません。

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