手術後のリハビリプロトコール

肩関節脱臼術後リハビリについて(予定表と当院のコンセプト)

【肩関節脱臼術後リハビリ予定表】

※骨性バンカート病変を修復した症例や関節包組織が脆弱な症例では、術後固定期間が長くなる場合があります。
※メディカルフィットネスセンターとは当院内のフィットネス部門のことであり、専門的なトレーニングを希望される方にお薦めしております。

【当院のコンセプト】
関節唇・関節包・軟骨などの損傷範囲、程度、組織の状態は人により異なります。また、スポーツ競技種目や競技レベルによってアスレティックリハビリテーションの内容が変わってきます。
当院では、一定のメニューに従ってリハビリを進めますが、その人の個人個人の肩の状態に最も適したリハビリテーションを行うために、常に肩の状態を見ながら、各段階をクリアしてから次の段階にステップアップする方式をとっております。

【各段階のリハビリ目的と内容】
Ⅰ.術後早期
 目的
 患部を安静にし、組織回復の促進
 リハビリ内容
 術後は患部の炎症が強く、また上肢の循環が悪くなっています。そのため、患部のアイシングと上腕や前腕の循環改善が最優先されます。患部のアイシングには氷嚢で膝を覆うようにしっかりと冷やします。上肢の循環改善には指や手関節を動かすことが重要となってきます。
 また、手術後は特に正しい姿勢を保つことが患部への負担を軽減させます。寝ている姿勢では腕を支えるためにタオルなどを肘の下にいれ、肩関節と同じ高さにすることにより患部への負担を軽減させます。そして、座っている姿勢では肩関節が前方にでないことが重要であり、体を丸めないように座ることが大切です(猫背にならないこと)。
 ヒトは痛ところがあると身体を丸める傾向にあり、良い姿勢を心掛けることで姿勢の改善に繋がり患部の負担を軽減し、患部回復を促進します。
 したがって、リハビリでは術後早期の患部が固定されている期間には姿勢の改善など患部への負担が軽減するように患部以外(手首、肘、肩甲骨、体幹)へのアプローチも行います。また、患部周囲の筋肉や皮膚が硬らないように治療をしていきます。
  

Ⅱ.術後中期(関節可動域訓練)
 目的
 肩関節の動きを徐々に出していきます。
 リハビリ内容
  固定期間が終わったら、関節へ負担をかけずに動かしていきます。まずは理学療法士による関節可動域訓練(関節を動かす運動)や振り子運動(肩の力をぬいて重力に身を任せます)を行っていきます。
 固定期間中、肩関節を動かしていないために周囲の筋肉が硬くなっています。そのため、まず初めにリハビリで行っていくことは肩関節周囲(患部周囲)の筋肉や皮膚などをほぐすということです。これらをほぐすことで関節可動域訓練がスムーズに行われるようになります。
 関節可動域訓練では、まず初めに理学療法士が上肢を保持し肩関節の可動域を徐々に広げていきます(※強引に肩関節を広げることはしません)
 動かす方向は初期の段階では頭部方向への「屈曲」という運動を許可します。固定期間に肩関節を動かしていないため、自分で動かそうとすると悪い動きになってしまいます。そのため、理学療法士が悪い動きにならないように肩関節の動きを誘導していきます。その後、可動域が広がったら腕を重力に逆らわないように腕の力を抜く練習をします(振り子運動)
  

Ⅲ.術後中期(筋力訓練)
目的
 日常生活における筋力の獲得
リハビリ内容
 関節可動域が改善してきたら、肩関節周囲(腱板筋群=インナーマッスル)の筋力訓練を開始します。インナーマッスルを正しく鍛えるためには、肩甲骨の位置が重要となり、また肩甲骨の位置は体幹や骨盤の位置に影響されます。要は体を真っすぐにしながら行わなければいけません。
 このトレーニングを行っていても、インナーマッスルがしっかり使えていなければ、肩甲骨や体幹をしっかり固定できるような状態をつくりながらインナーマッスルのトレーニングを行います。  
  

Ⅴ.トレーニング期
目的
 各々の競技復帰へ向けた動作の獲得、また再発予防を含めた機能の獲得
リハビリ内容
 各種競技に必要とされる機能の獲得を目指したアクティブなトレーニングを実施していきます。その競技特有の動作の中で問題点がみつかれば、その問題点を解決するためのトレーニングを行っていきます。
 競技復帰以降に重要なことといえば、再発予防だと言えます。肩関節への負担をかけないためには肩甲骨や体幹の柔軟性が非常に大切になってきます。また、関節可動域が広いことで使われる筋肉も増えてきます。
 肩関節を安定させるためには筋力が必要となります。肩関節周囲の筋肉だけではなく、肩関節周囲と肩甲骨や体幹の連動性が重要となってきますので患部外トレーニングも実施していきます。
  

Ⅵ.スポーツ期
目的
 競技復帰後のフォローアップ
リハビリ内容
 復帰直後は軽めの練習から行っていくなど、順序立てたプランに沿って復帰していくことが望ましいと言えます。私たち理学療法士がその都度患部の状態や動作のチェックを行いステップアップのサポート行います。
 競技復帰にしてからも、ブランクなどがあるため「体の感覚」が鈍っていると考えられます。そのため、思ったより動きが悪かったり、疼痛が出現した り、十分なパフォーマンスを発揮できないことがあると思います。その際には再び、問題とされている機能不全を見つけ出し、さらなるアプロ—チを行い競技復帰へのサポートを行います。
  


       手術後のイメージ
  
(注意)手術直後は装具により固定されているため、家事などはほとんどできませんのでご注意ください。
もし、装具固定の件に関して質問がございましたらリハビリスタッフまでお訪ねください。

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