主な疾患
急性硬膜下血腫
スポーツによる頭部外傷は、柔道やボクシングなどの格闘技、ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツ、スノーボードなどで起こりやすい。
死亡事故や重篤な後遺症を残すような重症のスポーツ頭部外傷では、急性硬膜下血腫の頻度が最も高く、死亡事故の80%以上を占めている。急性硬膜下血腫は脳表と硬膜の間に出血が起こり、血腫(血のかたまり)が形成される状態である。溜まった血腫は脳の広い範囲を圧迫し、脳の血流障害や脳浮腫を引き起こすため、致命的な後遺症を残す。その発生機序には以下の2つがある。
①脳表の組織が外傷によって挫滅し(脳挫傷)、脳表血管が切れ、硬膜下腔に出血する。
②架橋静脈が破綻し硬膜下腔に出血する。
スポーツによる急性硬膜下血腫は、頭部に急激な加速や減速が加わることにより脳にひずみができて、脳表を走る架橋静脈が破綻し、出血する②のタイプがほとんどである。受傷直後には意識清明期がみられることが多い。