膝蓋骨脱臼/膝蓋骨不安定症

(しつがいこつだっきゅう)

膝蓋骨脱臼とは

比較的軽い衝撃にも関わらず、膝蓋骨(お皿の骨)がはずれてしまうという怪我です。 通常、女性に多く、膝蓋骨が外側にはずれます。 体育の授業やスポーツ活動中に、「膝を捻って、お皿が外れた」とクリニックを受診される方をよくみます。 「外れた」までいかなくても、不安定なために違和感を感じる状態を膝蓋骨不安定症とよびます。

  • 正常な膝蓋骨の位置(レントゲン)
  • 外側に偏位した膝蓋骨の位置(レントゲン)

脱臼すると、、、

多くの脱臼は自然に整復され、救急で整復を受けることはまれです。 ただし、整復されても、腫れがのこり、強い痛みがあります。 初期の炎症が収まったあとも、歩行時の不安感や痛みが継続することがあり、転びやすいという訴えも聞きます。 膝専門医の受診は必要と思われます。

なぜ外れてしまうのか?

交通事故などでもみられますが、比較的軽い衝撃でも外れてしまうケースをよくみます。 これは、もともと外れやすい方がいるからと考えられます。

  • 膝蓋骨が小さい
  • 膝蓋骨高位(位置異常)
  • 外反膝
  • 下腿外旋
  • 関節弛緩
  • 大腿四頭筋がよわい
  • 動的なマルアライメント(下肢全体の使い方)
などがリスクファクターといわれています。

検査は、、、

レントゲン、MRI検査、CT検査をおこないます。 膝蓋骨の現在の位置、細かな骨折の有無、軟骨損傷の有無、周囲の靭帯損傷について評価します。

放置すると、、、

慢性的な膝前方痛、不安定感があり、スポーツ活動に支障がでます。 膝蓋骨が不安定なまま経過すると、膝蓋骨と大腿骨の軟骨がすりへり、膝蓋大腿関節症に至ることもあります。

治療は、、、

「外れたかどうか、自分でもわからない」というような軽症の場合、または初回脱臼の場合、リハビリテーションを中心とした保存治療をおこないます。先に述べたリスクファクターのうち、骨の形態は自分では変えられません。筋力や下肢の使い方が治療のターゲットになります。リハビリテーションでは、大腿四頭筋(内側広筋)トレーニングや、下腿外旋の改善をめざします。

重症な場合、、、

十分なリハビリテーションを行っても、複数回の脱臼に至る場合、手術をおすすめします。 手術には、幾つか種類があります。

  • 膝蓋骨外側リリース
  • 近位アライメント矯正
  • 遠位アライメント矯正
大きく分け、主に3つになります。 内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)が支持機構として60%の役割を担うと報告されており、近年MPFL再建術(近位アライメント矯正)が広く行われています。

半月板損傷の病態 MPFL(南江堂「膝を診る目」より)

我々も第一選択として、MPFL再建を行っています。 下腿外旋や膝外板が強い場合、遠位アライメント矯正(Elmslie-Trillat法)を追加することもあります。

MPFL再建について、、、

膝蓋骨に新しいシートベルトをつくる手術になります。内側ハムストリング腱を用いる場合と、テープ状の人工靭帯を用いる場合があります。膝に3−4箇所の小さなキズをつけ、膝蓋骨と大腿骨に移植腱を固定します。 術後3−4週で松葉杖がとれ、術後2−3ヶ月でジョギングできるようになります。6ヶ月以降に、スポーツ復帰をめざします。

  • Internal brace法 (Arthrex.comより改変)
  • 内側ハムストリングを用いたMPFL再建術 (南江堂「膝を診る目」より)
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